【IB Extended Essay対策シリーズ⑦】EEで高得点を取るには?評価基準を徹底解説!

IBが実際にどのような基準であなたのEEを評価しているのか、知っていますか?
評価基準を理解することは、高得点を獲得する上で欠かせません。
この記事では、評価基準(Criteria A〜E)を徹底的に分解し、高得点を取るためのポイントを解説します。

Extended Essayとは?

Extended Essay(EE)は簡単に言うと、IBの卒業論文にあたります。IBのディプロマ・プログラム(IBDP)のコア要素(TOK、CAS、EE)の一つで、英語で4000語(日本語の場合は8000字)の研究論文です。内容も形式もアカデミックな基準が求められ、大学レベルのリサーチペーパーの入門とも言えます。

EE評価の基本

EEは 5つの評価基準(Criteria) に基づいて採点されます。
各基準には、「どんな内容を書けば何点になるか」を示す評価表(Rubric) があり、その達成度に応じて点数が与えられます。
5つの基準の得点を合計した 34点満点 で最終成績(A〜E)が付けられます。
評価基準の内容と配点は以下のとおりです。


評価基準内容の和訳配点
AFocus and Method焦点と方法6点
BKnowledge and Understanding知識と理解6点
CCritical Thinking批判的思考12点
DPresentation形式4点
EEngagement取り組み6点

評価基準を徹底分析!

ここからは、IB が公開している評価表(Rubric)の中で、最高得点のバンドに該当する記述(descriptor) を、クライテリアごとにまとめていきます。各クライテリアでどのように書けば高評価につながるのか、イメージをつかみ、高得点を狙いましょう。

Criterion A:Focus and Method(焦点と方法)

何が評価される?

  • テーマ選定が明確か
  • 研究課題(Research Question)の焦点が的確に絞られているか
  • 適切で理由づけされた方法論を用いているか

高得点のポイント:

  • エッセイの冒頭で研究の焦点と目的を明確に説明する。
  • リサーチクエスチョンは「問い」の形で具体的に設定する。
  • 方法論(Methodology)を自分の教科に適した形で理由づけする。例えば、理系なら実験設計やどんなデータ分析方法を使うのかなどを、「なぜその方法が質問に答えるのに最適なのか」とあわせて説明する。文系の場合は、どんな理論を使うのか、どんな資料を選ぶのか、その資料を選んだ理由などを、研究質問に関連づけて説明する。
  • EE全体を通して、研究の焦点がぶれないように一貫性を保つ。

Criterion B:Knowledge and Understanding(知識と理解)

何が評価される?

  • テーマに関する深い理解と専門知識が見られるか
  • 教科特有の用語・理論・枠組みが適切に使用されているか

高得点のポイント:

  • 教科固有の概念を正確に用いて、学術的文脈の中で自分の研究を位置づける
  • 単なる知識の羅列ではなく、理論を分析や議論の裏付けとして活用する。
  • 資料・データの選定理由を説明し、学術的信頼性を示す。
  • 自身の研究テーマから逸脱せず、選択した教科の評価基準内に収める

Criterion C:Critical Thinking(批判的思考)

34点中12点を占める、最も配点が高く、EEの核心となる評価基準です。
ここでは、データ・資料の分析、議論の一貫性、結論の根拠が評価されます。

高得点のポイント:

  • 収集したデータや文献を単に説明するのではなく、批判的に分析・比較する。
  • 異なる視点や、自身の研究における制約にも触れ、研究の信頼性を自ら評価する。
  • 主張 ⇔ 証拠 ⇔ 結論 の論理構造を明確に。
  • 結論は自分の「意見」ではなく、エビデンスに基づいた論理的な結論であること。

Criterion D:Presentation(構成と表現)

何が評価される?

  • エッセイ全体の構成・形式・フォーマットが学術的で整っているか
  • 読みやすく、かつ適切な学術表現で書かれているか

高得点のポイント:

  • タイトルページ、目次、ページ番号、引用、参考文献など形式要件をすべて満たしている。
  • APA、 MLA、 Chicagoなどの引用スタイルを統一して使う。
  • 4,000語以内で、明快で一貫性のある構成にする
  • 図表やグラフを使う場合は、番号・タイトル・出典を明記する

Criterion E:Engagement(研究への関わり)

この評価基準は、RPPF(Reflections on Planning and Progress Form)の内容で評価されます。

高得点のポイント:

  • 単なる経過報告ではなく、自分の思考・成長・発見を具体的に振り返る
  • 「なぜその方法を選んだのか」「どのような壁に直面し、どう乗り越えたのか」を明確に書く。
  • 研究を研究を通して得られた自分の知的変化や視点の広がりを言語化する。
  • 指導教員との面談が、自分の意思決定にどのように役に立ったかに触れると良い。

実際の採点例で読み解く、EEの評価ポイント

IBはEEの評価例を科目ごとに公開しています。EE本文、RPPF、採点者のルーブリックに対するコメントを全てアクセスすることができるので、自分の教科のEEの良い例・悪い例を読み、どのようにすれば自分のEEが高く評価されるのかを考えてみましょう。

以下は、IBが公式に公開している Economics Extended Essay の評価例です。「国営モスクワ地下鉄の料金戦略は、都市における自動車利用の負の外部性を軽減する上でどの程度効果的であったか?」という研究課題に対して、論文などの二次資料、値段推移の一次データ、そして地下鉄利用者に対するインタビューを用いた分析を行っています。

実際にどのような観点で採点され、どのような点が評価・減点されたのかを知ることで、自分のEEにどのように活かせるか具体的に理解できます。

Criterion A:5 / 6

研究テーマは明確に伝わっており、どのように研究範囲を絞り込んでリサーチクエスチョンに至ったかがはっきり示されている。議論も一貫してRQに結びついている。資料の選定も適切だが、弾力性(EEで用いられている理論の一つ)の扱いだけはやや弱い。

この評価からの分析

RQをどのように設定したかを説明すると評価が上がる
理論や方法論は深く扱う必要がある
議論が常にRQと結びついているかが重要

Criterion B:5 / 6

専門用語や概念の使用は正確で理解も深い。ただし、市場への影響を説明する際に、一般的な図を用いた点は弱みにあたる。研究事例のデータを用いて、実際の数値が図に反映されているとよかった。しかし、自作の図が含まれているため、大きな減点にはならなかった。

この評価からの分析

経済学の概念を正確に使うことが必須
用いる資料が既存の一般的な図だけでは根拠が弱い
データを用いた独自の図表は大きなプラスになる

Criterion C:10 / 12

研究内容はRQに適しており、分析の質も高い。議論は論理的で、価格政策の影響を検討する際に「相関と因果の違い」に言及するなど、批判的視点がしっかり示されている。他の要因や限界についての分析も行われている。

この評価からの分析

説明だけでなく、評価・批判が必要
相関と因果を区別するなど、経済学的な視点が高得点に直結
研究の限界を自分で指摘することが重要

Criterion D:4 / 4

形式面に問題はなく、満点に値する。

この評価からの分析

形式は内容と別で評価されるので、形式の不備に気をつける必要がある

Criterion E:4 / 6

研究の過程や知的な工夫が見られるが、エッセイの要約に字数を使いすぎており、個人的な振り返りが不足している。

この評価の分析

RPPFは研究の要約を書く場所ではない
自分が執筆プロセスでどのように考え、どう乗り越え、何を学んだかを書くことが大切

総合評価:28 / 34 (評価A)

全体として強いエッセイであり、理論の適用がよく行われている。政府介入の効果を分析する際に、原因となる要素を絞って検証しようとする姿勢が良い。構成も論理的で、批判的分析が明確に示されている。

まとめ

EEで高得点を取るためには、まず 採点基準を正しく理解することが不可欠です。どのクライテリアで何が求められているのかを把握したうえで執筆することで、論文の焦点や構成がぶれず、評価されるポイントを確実に押さえることができます。採点方法を理解し、戦略的に書くことこそが、高得点取得への最も効果的なアプローチです。

このブログでは、テーマ設定・リサーチ・構成・執筆など、Extended Essayの書き方をシリーズで詳しく紹介しています。次は、「EEの入試での活かし方」を知りたいという方に向けた記事を公開予定です。お楽しみに!

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