【IB Extended Essay対策シリーズ③】文献調査徹底ガイド!・無料リサーチツールまとめ

科目選びから研究トピックの決定まで進んだら(研究トピックの選び方についてはこちらの記事を参照)、いよいよリサーチの開始です!

ただ、いざ始めようと思っても「どこから手をつければいいのかわからない」というIB生は多いのではないでしょうか。特に、EEは人生で初めて本格的な研究に取り組むという人も多いため、最初の一歩が難しく感じられます。この記事では、EE特有の文献調査の進め方を基礎から丁寧に解説していきます。

Extended Essayって何?どのように評価されるの?

Extended Essay(EE)は簡単に言うと、IBの卒業論文にあたります。IBのディプロマ・プログラム(IBDP)のコア要素(TOK、CAS、EE)の一つで、英語で4000語(日本語の場合は8000字)の研究論文です。内容も形式もアカデミックな基準が求められ、大学レベルのリサーチペーパーの入門とも言えます。


どうやって評価されるの?
EEは、下のような観点で評価されます。

  • 知識と理解:トピックや用語、研究手法をどれだけ理解しているか
  • 応用と分析:どんな研究手法で、どんな分析をしているか
  • 統合と評価:議論の展開や結論の説得力、研究の振り返り
  • 構成と誠実性:論文の構成や引用などの学術的なルールが守られているか

EEとTOKの成績の組み合わせによって、最大3点がIBディプロマのスコアに加算されます。

EEの研究は文献調査から

文献調査とは、すでに発表されている研究や論文を読み込み、テーマの背景を理解する過程です。これを怠ると、研究の基盤が不十分になり、「その研究はすでに他の人がやっている」「結論に説得力がない」と評価されてしまいます。文献調査を丁寧に行うことで、研究の方向性がクリアになり、独自性を出すヒントも得られるでしょう。

実際にEEを終えた先輩たちも、文献調査の重要性を強く感じたと口をそろえています。

「EEで一番大切だと感じたのは、参考文献の調査・収集です。これは高得点へのカギであり、エッセイの基盤となります。特に文系科目では、自分の主張をどれだけしっかりと裏付けられるかが重要なので、資料集めは絶対に怠らないほうが良いです。
私は当時、参考文献リサーチにあまり時間を費やさなかったため、深く掘り下げたEEにはなりませんでした。今振り返ると、もっと多くの資料を集めておけば、エッセイもよりスムーズに書けたと思います。とにかく早めから、できる限りの参考文献を集めることをおすすめします!」

(English B EEを執筆した先輩から)

また、理系分野でも同じことが言えます。

「私は最初短期記憶の研究をしようとしていたのですが、調べていくうちに短期記憶の研究は盛んであり、私の学校で研究できる程度にはもう研究され尽くされていたことを知ったので、作業記憶にトピックを変えました。もしあの時にあまり調べずにそのまま短期記憶の研究をしていたら、先行研究がありふれており、あまり独自性のある実りのあるEEにはならなかったかもしれません。」

(Biology EEを執筆した先輩の声)

引用と参考文献の基本

IBは、Academic Integrity (学問的誠実性)をとても大切にしており、EEに取り組む上でもこれは例外ではありません。EEでは、他者の知識やアイデアを扱う際に、引用と参考文献を正しく行うことが必須です。IBが定める学術的誠実性の基準に基づいて研究を進めるために、まずはIBが定める基準を理解しましょう。

引用や参考文献の不正は、単に点数が下がるだけでなく、課題の評価自体が認められず、最悪の場合IBディプロマ資格が取り消されるなど、重大なリスクを伴います。

さらに、AI生成コンテンツを自分の成果物として無断で使用した場合も、盗用と同等に扱われるため、必ず引用元として明記し、参考文献に含める必要があります。よって、EEでの引用と参考文献の取り扱いは、学問的誠実性を守り、自分の努力を正当に評価してもらうために欠かせない作業です。

引用が必要な例

  • 抜粋:他人が作成した文章をそのまま抜粋する場合
  • 要約や言い換え:自分の言葉に直しても、他人の理論や考え方を参照する場合
  • データや統計:数値、実験結果、調査データなどを用いる場合
  • ビジュアル:グラフ、図表、写真、イラスト、映画の一場面、音楽などを引用する場合

引用が不要な例

IBは「一般常識」については引用不要としています。しかし、その内容を引用・要約する場合や他者の解釈を紹介する場合は、必ず出典を明記する必要があります。

「これって一般常識?」と迷ったら、引用しておいた方が安全です。IBもガイドの中で「疑わしい場合は引用を」と強調しています。詳細はIB公式資料 Effective citing and referencing (IBO) を参照してください。

効率的にリサーチを進めるための工夫

EEのリサーチをただ闇雲に進めても、必要な情報を効率的に集めることは難しいです。ここでは、限られた時間で質の高い文献を集め、整理するための具体的な工夫を紹介します。これらの方法を取り入れることで、文献調査の精度が上がるだけでなく、後の執筆作業もスムーズになります。

キーワードリストを作成する
リサーチを始める前に、まず自分の研究テーマやリサーチクエスチョンに関連するキーワードを書き出してみましょう。検索ワードになるような単語をあらかじめ整理しておくことで、検索作業が効率的になり、必要な文献を漏れなく集めることができます。

論文の参考文献を確認する
自分のテーマに関連する論文を1つ見つけたら、それを読み込むだけでなく、その論文が引用している参考文献も確認してみましょう。先行研究はお互いに関連づけられていることが多いため、芋づる式に重要な文献を発見できることが多いです。

引用文献管理ツールを活用する
リサーチを進めていくうちに、引用したい論文やデータがどんどん増えていきます。そこで、以下で紹介するZoteroやGoogleスプレッドシートなどのツールを使って、リンク・引用部分・要約・出典情報をまとめて管理しておきましょう。
これを行っておけば、後で参考文献リストを作成するときに一から探し直す手間が省け、執筆作業が格段にスムーズになります。また、文中引用(In text citation)のために、どの記述がどの文献に基づいているのかを明確にしておきましょう。

文献調査に使える無料ツール

EEのリサーチを効率的に進めるために活用できる無料のツールを紹介します。理系・文系を問わず幅広く使えるツールをまとめていますので、自分の研究テーマに合わせて活用してみてください。各ツールの特徴やおすすめポイントもあわせて解説しています。

誰にもおすすめな文献検索ツール

  • Google Scholar(https://scholar.google.com/)
    学術論文検索の代表的なサービスで、文献調査の最初の一歩として最もよく使われます。幅広い分野をカバーしており、新しい研究成果や引用数の多い重要論文も簡単に見つけられます。関連論文や引用関係をたどっていくことで、研究テーマに沿った体系的な情報収集が可能です。
  • CORE(https://core.ac.uk/)
    世界中のオープンアクセス論文を集めたデータベースです。幅広い分野を網羅しているので、理系・文系を問わずどんな研究テーマでも使うことができます。
  • Directory of Open Access Journals (https://doaj.org/)
    世界中のオープンアクセスジャーナルを集めたサイトです。様々な分野において、査読済みの論文を読むことができるため、信頼性の高い情報を得たいときに役立ちます。

理系におすすめな文献検索ツール

  • PubMed(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/)
    医学・生命科学系に特化した世界最大級の論文データベースです。生物学や心理学のEEに取り組む生徒に特におすすめです。
  • ScienceDirect(https://www.sciencedirect.com/)
    自然科学・工学・医学など幅広い分野の査読論文を提供しています。最新の研究成果にもアクセスできるため、理系EEで最先端の情報を調べたい場合に便利です。ただし、専門用語が多く、最初は難しく感じることもあるでしょう。その点について、実際に執筆した先輩は次のように語っています。

「専門用語などの多い研究論文は難しく感じるかもしれません。序論の“研究の背景”の部分には、その研究にあたっての先行研究がよくまとめられているので、まずはそこを重点的に読むと理解しやすいです。わからない単語はその都度調べてメモしておくと、後々とても楽になります。さらに、その際に使える図表や参考文献も一緒にメモしておくのがおすすめです。」

(Biology EEを執筆した先輩の声)

文系におすすめな文献検索ツール

  • Google Books(https://books.google.com/)
    本の全文検索が可能なサービスです。プレビューだけでも引用できる情報が多いので、文系の研究におすすめです。書籍やWebサイトはさまざまな種類をバランスよく使った方が良いので、参考文献として書籍を探す際の出発点として活用できます。
  • Project Gutenberg(https://www.gutenberg.org/)
    著作権が切れた古典文学や歴史文献を無料で読むことができます。文学系や歴史系のEEでPrimary sources(一次資料)を扱いたいときにおすすめです。
  • Our World in Data(https://ourworldindata.org/)
    視覚化された統計資料が豊富で、グラフや図をそのまま活用することができます。引用しやすいだけでなく、研究の背景説明やデータ分析にとても便利です。

 文献管理ツール

  • Zotero
    参考文献を一元管理できる無料ツールです。ブラウザにアドオンを入れればワンクリックで論文情報を保存でき、引用スタイル(APA、MLA、Chicagoなど)も自動で生成可能です。さらにPDF保存やノート機能もあり、非常に便利です。
  • Google Sheets
    自分で表を作り、論文タイトル・リンク・引用部分・要約・出典情報を整理しておくと便利です。

まとめ

EEのリサーチは軌道に乗るまでの最初のステップが大変ですが、「正しい進め方」と「便利なツール」を知るだけで労力が大きく変わります。文献調査の方法を身につけることは、EEだけでなく、大学進学後や社会人になってからも役立つスキルです。自分に合った方法を見つけ、効率よくリサーチを進めましょう!

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